ざー……
「ちくしょー…雨にふられたー!」
ぱしゃぱしゃと水をはねつつ主は駆け抜けます。
「あ!主!あそこに建物があります!少し雨宿りさせてもらいましょう?」
主を守るのがわたくしたちサーナイトの役目。
さきほど進化して、わたくし、主を守ることに目覚めましたの。
主が風邪をひかないようにするのもわたくしの役目なのです。
――助けて――
「?」
「どうしたサクヤ」
「いいえ……」
――世界を、助けて――
「!……主!」
「なんだよ」
「一緒に世界を救いましょう!」
「……はぁ!?」
ざー……
雨は容赦なく降り続けます。
「…と、思ったのですが……どうやら主は救世主にはなれないようです」
「何なんだよ…」
「ここではないどこかの世界で、わたくしの仲間が助けを求めていました!主!一緒に救世主を探しましょう!」
「……嫌だって言ってもサクヤは真面目だからなぁ…いいよ…しゃーねーな」
とりあえず近くにあった建物に雨宿りをしに入りました。
【天気研究所】
「どーして俺達が行く先行く先マグマ団がいるんだろうな……」
「ユウト!頑張って倒そう!」
「わーい!バトル?バトル?暴れちゃっていい?」
「俺は…遠慮していいか?」
「よっしゃー!オレの頑張り見せたるー!」
「……お前らはバトルしたがってるけど……めんどくせー……」
「主!わたくし進化してから初めてのバトルです!主は私が守りますわ!」
「あ、ありがとう……」
主は覚悟を決めたようで、ずんずんと前へ進んでいきます。
下っ端なんて一発です!今日も主は素敵です!
すると、階段の前あたりで、男性が必死で叫ぶような声が聞こえてきました。
「ポワルンは渡さない!」
その声を聞いて、主は階段を駆け上がります。
「おいてめーら、何やってんだ!」
主は威勢よく声を張り上げました。
それを聞いて、マグマ団の幹部や天気研究所の研究員が一斉に主を見てきます。
けれど。
その中にひとりだけ、声の反応に気付かない少年がいました。
彼はポワルンを自分の腕にしっかりと抱き、隅でがたがたと震えていました。
「……!もしや……?」
「どうしたサクヤ」
「あ、主!あの少年が救世主です!ど、どうしましょう?いきなり話しかけたらびっくりされるでしょうか?」
「今俺達がやってるようにテレパシーでも使えばいいじゃねーか」
「さすが主!ではやってみますね!」
「ちょ、サクヤ…バトル!」
主の声を無視して、わたくしは少年にテレパシーを送ります。
「聞こえますか……?」
「!!」
少年は驚いた顔をしてわたくしの方向を見て、また震え始めました。
驚かせてしまったのでしょうか?
「あなた、今すぐ異世界に行って世界を救ってきてください!お願いします!」
「……?」
「それでは今からわたくしの念力で異世界へ送りますね!」
「え、ちょっと……!!」
わたくしは念力を使って異世界へ彼を送り出しました。
すると、先ほどまでいた少年の姿が消えてしまいました。
「サクヤお前何やってんだよ!」
「異世界へ送りました!」
「送ったって……」
「さぁバトルです主!がんばりましょう!」
こうしてわたくしは、今日も主を守るのです。
おしまい。
サーちゃんは暴走系です。
突拍子もない行動に出て、みんなを振りまわします。
ちなみにこのころはまだミロさま不参加です。確かマリルリかペリッパー入れてた。
ユウトはサーちゃんとはテレパシー会話が可能ですが、他のメンバーとは会話できません。
自分内設定ではランシャオ(救助隊主人公・ヒノアラシ♂)は人間時代、天気研究所によく遊びに来ていた耳の不自由な少年、という設定です。
本編中では耳聞こえますけど、最後のところではだんだん耳が聞こえなくなっていって、こっちの世界に戻ってきます。
ポワルンと仲いいんだぜ。
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